「メタボ」― 今では一般用語としてすっかりおなじみになった、この言葉。正式にはメタボリックシンドロームといい、日本語では“内臓脂肪症候群”といわれています。よく耳にする言葉であっても、実際に「メタボって何?」と問われると正確には答えられないもの。そこで今回は、メタボとはどういうものなのか? また、その対策はどうすればいいのか?をご紹介しましょう。
メタボを理解するうえで重要なキーワードが、“内臓脂肪”です。この内臓脂肪とは、内臓の周囲についた脂肪のことで、皮下脂肪とは異なります。内臓脂肪はおなかのまわりに蓄積しやすく、正確に調べるにはCTスキャンが必要ですが、特定健診でウエストが男性:85cm以上、女性:90cm以上の場合メタボと診断するためのひとつの条件となります。
このウエストサイズの条件に加えて、高血圧(血圧の検査)、高血糖(空腹時血糖の検査)、脂質異常症(コレステロールと中性脂肪の検査)の3項目のうち、2つ以上当てはまるとメタボと診断されます(1つの場合はメタボ予備群)。
ちなみに、厚生労働省のデータ(平成26年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況)によれば、特定健診を受けた人のうち、4人に1人以上がメタボあるいはメタボの予備群であるとされました。
ところで、なぜウエストサイズ以外に、高血圧、高血糖、脂質異常症の3つの項目がメタボ診断の項目となっているのでしょうか?
実は、これらの症状はお互いに深い関わりがあるのです。例えば、内臓脂肪が増えると、多くの脂質が血液の中に入り込み、中性脂肪が増えたり、善玉とされるHDLコレステロールを低下させてしまいます。また、内臓脂肪が特定の物質の分泌異常を引き起こし、高血糖や高血圧の原因になることもわかっています。
「気づいたら、おなかポッコリ」ということがあるように、高血圧、高血糖、脂質異常症なども、ほとんど自覚症状がなく進行するケースが多いのです。さまざまな生活習慣病のリスクを少しでも減らすには、食事や運動などを含めた生活習慣を改善し、メタボを予防することがとても大切だといえるでしょう。
メタボを防ぐための食生活とは?
メタボに由来する生活習慣病として知られる、高血圧、高血糖、脂質異常症などを防ぐためにも、日頃からバランスのよい食生活を心がけましょう。
高血圧を防ぐための食事
高血圧を遠ざけるための食事のポイントは、やはり塩分を減らすこと。しょうゆやソースなども控えめにして、少しずつ薄味に慣れましょう。また、レモンやお酢、こしょうなどで味付けしたおかずを加えるなどの工夫もおすすめします。
高血糖を防ぐための食事
おなかいっぱいに食べることや、間食はできるだけ避けましょう。早食いはやめて、ひと口食べたらよく噛んで、ゆっくりと食事をするように心がけてください。また、甘い物やジュースなどは血糖値を急上昇させるので控えめに。
脂質異常症を防ぐための食事
揚げ物など、脂っこい食事は控えめに。また、お肉が好きな方は、なるべく魚も食べてオメガ3系脂肪酸であるDHAやEPAを積極的に摂るように心がけましょう。食物繊維が多く含まれる野菜類も毎日の食事に取り入れてくださいね。
メタボを防ぐための運動
メタボになりやすい方の習慣として、あまり体を動かさない、運動不足などがよく指摘されます。ジムに行くなどの時間が取れない方でも、日常生活の中で内臓脂肪を減らすことは可能です。エスカレーターやエレベーターを使わず、階段を使う。電車通勤の方は1駅前で降りて歩いてみる。早足で歩く。こまめに家の掃除をするなど、日常生活の活動で消費されるエネルギーを増やす工夫をしましょう。