すっかりと秋らしい日差しになり、一年のなかでも外に出かけるのに心地よい時期になった。秋といえば、豊穣の季節。この時期に食べるなら、おいしくてヘルシーなきのこがいい。食いしん坊には、山登りよりもきのこ狩りのほうが惹かれる。
その昔、群馬の山奥に地元の案内人とともにきのこ狩りに出かけたことがある。その後すぐに屋外できのこ鍋にして食べたのだが、山で採った野生のきのこは、見た目も味もスーパーで売られているものと比べものにならないくらいの力強さがあった。
まるで、大地のエネルギーそのものを、きのこを通して体に摂り入れているようだ。実際、きのこは周囲の養分を吸い上げて成長するのだから、野生のきのこ周辺の環境をそのまま吸収しているといっても過言ではないだろう。
きのこは、カビや乳酸菌と同じ、菌類に属する。ミネラルや葉酸を含んでおり、何よりも食物繊維が豊富。食物繊維は腸の働きを助ける作用があるとされるから、免疫力をアップさせるほか、肌の調子を整えてくれるのにも貢献するだろう。
晴れの日も多くなる秋に外に出てきのこ狩りをすることは、体を動かしておいしい食材を手に入れることと連動した“美”の近道でもあると思う。少なくとも、毎日の運動をしていない人にとっては。
“香りマツタケ、味シメジ”とはよく言ったもので、野生のシメジのたくましさといったら、それだけで肉を食べているかのようなボリューム感とうま味がある。素材だけを見ると低カロリーで、うま味があるために味付けの塩分が少なくて済む。
肉厚なマイタケやシメジをぐっとこらえて、天ぷらにしないのはかなり勇気がいる。でも、蒸したきのこにポン酢をかけるくらいがきっと体には優しい。天日で2日間くらい干すとかなりうま味が増すので、ぜひお試しを。
この頃は、現地集合・解散で1日きのこ狩りツアーを催行している所もあり、ひとりでも気軽に参加しやすい。ぜひ、秋の旅行は、きれいを実感できるほど食べられる分の量を採りに行こう。おいしくてきれいになれる最高の食材なのだから、きのこ狩りに行かないテはないのでは。